大きなお世話


 アメリカの店員は、やたらと話かけてくる。 まずレジに並ぶと、「 Hi! 」。まぁ、これは良い。 日本で言えば「いらっしゃいませ」だろうか。 ちょっと違う気もするが、まぁ同じようなノリだろう。 問題はその後だ。必ずと言っていいほど、 「 How are you ? 」と聞いてくる。 このやりとりを日本語に訳すと、さしずめ

「いらっしゃいませ。最近,調子どうよ ? 」

といった感じだろうか。 これを年中言っているアメリカ人の感覚がわからない。 しかも、これの返事は、 「調子良いよ」の一種類しか用意されていないといっても過言ではない。 それ以外の返事をした人を見た事もなければ、する勇気もない。 きっと、これ以外の、

「いやー、円安で生活苦しいねー」

などという寝惚けた反応をしたら、どんな事になるのか想像もつかない。

 つい先日も、 CD 屋で CD を見ていた時のこと。 「何か CD 探してるんかい ? 手伝おうか ? 」 と、例によって話かけてくる。 もちろん、「だいじょうぶだよ」と断ったが、 そもそも、そうやって CD 探しを手伝う位なら、 CD を ABC 順にきれいに並べろと言いたい。 一応、 ABC 順っぽく並んではいるが、 最初の一文字以降はグチャグチャに並べている店もけっこうある。

 それで、そこの店では、 3 枚の CD を購入したのだが、 レジに持っていったら、まずは前述のおきまりの文句が出てくる。 その次に、「他に買うものありますか ? 」って、 他にまだ買うものがあったら、レジに来るわけないと思うのだが...

 さらに、そこで購入した CD 3 枚のうちの 1 枚は、 Bangles のベスト盤であった。 余談だが、私は過去にこの CD を日本で購入した事がある。 しかし、サークルの後輩の三和氏の家で、 さらに下の学年の神谷氏の攻撃によって再起不能になってしまったという、 非常に苦い思い出の一品である。 まぁ、この話は関係無いので、話を進めよう。 この CD は名盤と言えるものだと思うが、 店員が一言、「これは良い CD だよ」と言ってきた。 一応、礼儀として「あぁ、知ってるよ」とにこやかに答えておいたが、 良い CD じゃなかったら最初から買うわけないだろうが。 だいたい、こういう店員は、もしも自分がイマイチだと思う CD があったら、 レジを打ちながら、

「いやーお客さん、この CD ね、ハズしですよ、これ。失敗、失敗」

などと言うのだろうか ? 一度聞いてみたいものである。
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