「すみません、 140 万円で買える車探してるんですけど。」
　「お客さ〜ん、車種を決めてから来てくださいよぉ」

　そう、ウザい事に、 日本では車種の選択を自分でしなければならないのである。 しかも、仮に車種を決めて行っても、 色違いとか、グレード違いとか、 どうでも良い違いで微妙に違う車を次々と見せられるのである。 その点、アメリカでは、予算を決めれば、 中古車屋さんが選りすぐりのバッチリな車種を 1 台だけ提示してくれるので、 悩む必要など全く無い。

　ところで、アメリカの中古車ディーラーは 日本のディーラーのようにチマチマと細部にこだわったりしない。 非常におおらかなのである。 アメリカには Blue Book という本がある。この本は、年式、車種、走行距離等のデータから、 中古車価格の相場を一覧にしている、非常に便利な本である。 先のリンクから、 web 上の同じサービスが利用できるので、 興味のある人は試していただきたい。 で、アメリカ人は、この Blue Book を見て、

　「この値段、ちょっと高くない ?」

と交渉する。すると、店の方も、

　「じゃ、もうちょっと安くしときますよ」

となるそうだ。つまり、この本に市場が全て把握されているので、 ワザワザ店に行かなくても相場がわかるという、

　実例を挙げよう。私が心の師匠として尊敬する 金城 氏の愛車は、 Mitsubishi の Eclipse である。 ( 注: 文字通り、多大な愛情を注いでいる事は言うまでもない。 ) 金城氏は 96 年から Pittsburgh 在住で、 1 年目に中古で Eclipse の 93 年モデルを購入した。 当時、値引き交渉無しで、税別 8,000 ドルで購入したそうだ。 そして今回 ( 98 年 ) 、私が車を購入するにあたって、 Eclipse を 2 台みつけた。 そのうち 1 台は、金城氏の購入先と同じディーラーである。 今回見つけたのは 95 年モデルだったので、 値段は金城氏の愛車と同じ 8,000 ドルであった。 金城氏の愛車とは見た目やエンジン周りがちょっと違う気もしたが、 同じ車種なのだから、同じ値段である事は当然であろう。 さらに、ディーラーのオヤジと話すと、 当然、車を売り込むためのセールストークが始まるわけだが、 これがまた非常に効率的である。 例えば日本なら、

　「ボディに傷も無いし、走行距離もあまりいってないですよ。
　　それに、ほら !! エンジンもよく回るんですよー !!」

などと、素人にはよくわからない違いを強調されたりするが、 アメリカの場合は違う。

　さらに、別のディーラーで見つけた Eclipse は、 Mitsubishi 製ではなく、 Eagle 社の Talon という OEM 製品だった。 MT 車でサンルーフ付きと、まぁ細かい点は違ったようだし、 ワイパーに錆が出ている状態だったのだが、 こちらも、車種は同じ Eclipse で、年式も 95 年モデルなので、 値段も同じ 8,000 ドルと、非常に明朗会計である。 以上から、

　ということで、中古者を購入する際には、 是非 Blue Book を参考にしていただきたい。 ちなみに、私は当時は無知だったので、 金城氏に連れて回ってもらい、 金城氏に代理交渉してもらい... という、 金城氏に「おんぶにだっこ」してもらう状態だったが、 その甲斐あって(?) 、金城氏イチオチの Mazda Miata を税込み 12,000 ドルで購入できた。 走行距離が少ない点とハードトップ付きという条件を考慮すると Blue Book の相場よりも安い値段だったので、 とってもお買い得だったのだ。 決して、島国日本の市場価格と比較してはいけない。 アメリカは